眞砂では日々いろいろな種類の革に接していますが、原料である革自体を作る工程というのはなかなか見ることができないものです。
貴重な機会をくださった株式会社エセカさん。せっかくなので印象に残ったものをもう少し詳しく紹介したいと思います。
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研修に行ってきました
こちらは染色前のまっさらな革。
ベージュの革はタンニンなめしで、植物タンニン(渋)を使うため土に還るエコな製法で作られています。使い込むほどに味が生まれる革になりますが、時間と手間がかかります。
グレーの革はクロムなめしで、鉱物性の合成なめし剤を使い作られます。柔軟性に優れた革となり、短期間で仕上がるため、現在流通する革の大半はクロムなめしとなっています。
これらのなめしの工程が済んだものがエセカさんにやってきて、染色・塗装・艶出しなど風合いを生み出す技術が施されるのです。
直径3mほどある「タル」
勢いよくぐるぐると回り迫力満点です。革と薬品と染料をタルの中に入れ染色します。色や柔らかさを決める薬品の量はなんと目分量だそうです。職人技ですね。
ちなみに黒い革は多くの染料が必要なので、朝入れて2日はかかるそう。製品になった時の色落ちの点では「いい黒」ほどよく落ち、寝ぼけた黒ほど落ちにくいと言います。
乾燥のため天井のレールに吊るされた大量の革。
革の感触に直接影響する重要な工程です。
なんとなくモンスターズインクの工場を思い出し気分が上がりました笑
工場の一角にある2畳ほどの小部屋。
「陽の光が入る百貨店はないだろう」とのことで、窓のない部屋を作ったそうです。
言われてみれば確かに、革製品は窓のない売り場に並んでいますよね。蛍光灯も納品先の蛍光灯と全く同じものを使って色を合わせるそうです。
その小部屋から取り出して見せてくださったこちら。一見レースの布のようですが…
驚くことにこれも革なんです!レーザーコンピューターで線を描き穴を開け、メッシュの上に丁寧に貼り付けて作られています。レーザーで焼き切るため焦げ臭い匂いがしていたものをエセカさんで消臭作業したということでした。
大変細かく、工程も複雑なので、「もし今同じようなものを作ろうと思ったらものすごい高価になるだろうね」と社長さんが笑っておられました。
もし眞砂にこんな革で小物を作る仕事が舞い込んできたら…ドキドキしますがかなりのやりがいがありそう。難しい仕事ほど燃えるものです。
「グレーシング」を施す機械と、案内してくださった社長の江澤正喜さん。
この機械で革を擦ると、ものの数秒で上の写真のような艶が出ます。
奥の艶のない部分と手前の艶、違いがはっきりしています。この作業は素早さが必要であり、熟練した技術が求められます。
そしてこの革こそが眞砂がお願いしているバッファローレザーで、新商品の素材になる予定です。お試しでグレージングを見せてくださいました。
革の上に載せている製品の色を目安に染色と加工をしてもらいます。アイロンをかけたり、揉みこんだり、様々な方法があるそう。
全く違う色と艶ですが、ここからどれだけ近づいていくのか、楽しみです。
あらゆる工夫と技術で、お客様の要望に応えているエセカさん。
そのエセカさんからやってくる革で、眞砂では小物を作っています。私たちもお客様の要望に応えられるよう一層努力していくこと、また、革を無駄にしないよう大切に扱っていくことを改めて意識する一日になりました。